2026年2月25日
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ベトナムの小売市場が転機を迎えている。2025年、政府は「電子インボイスの義務化」、「偽造品取締り強化」、「製品トレーサビリティ制度の導入」、そして「電子商取引法の制定」を相次いで打ち出した。急成長市場に対する統制強化は、拡大の勢いを削ぐのか。それとも成熟へ向けた整備なのか。まず、足元の市場規模を確認したい。
高成長を続ける市場の「二重構造」
ベトナムの商品・サービス総小売売上高は、2021年の1,670億USDから、2025年には2,690億USDへ拡大する見通しである。年平均成長率は12.6%。この4年間で約1,020億USD増加する計算だ 。内需の拡大は一過性ではない。人口約1億人、市場の若さ、中間層の拡大が底流にある。[1].
【図1】商品・サービスの総小売売上高の内訳(%)
ソース: 国内市場監視開発庁 – 産業貿易省
ただし、構造は二層的だ。2025年時点で、総小売売上高の約70%は依然として伝統的チャネル(市場、家族経営商店等)が占める見込みである。近代的小売チャネルは約18%、電子商取引は約12% 。農村部や地方都市では、伝統市場が流通の中心であり続ける。
一方、電子商取引は急拡大している。オンライン小売売上高は2025年に約320億USDへ達し、年間20%超の成長が見込まれる 。東南アジアで最も成長速度の高い市場の一つだ。拡大する市場規模と、なお強く残るインフォーマル構造。このギャップこそが、規制強化の背景である。[2].
規制強化の本質は「正式化」
2025年6月1日施行の政令70/2025/ND-CPは、一定売上基準を満たす小売事業者に電子インボイス発行を義務付けた。デジタルPOSと連動し、税務当局へ自動報告される仕組みだ 。
【図2】小売関連規制(2025~2026年)
| 規制 | 発効日 | 要点 |
| 政令70/2025/NĐ-CP | 2025年6月1日 | 電子インボイス義務化。家計・個人事業者の収益報告と税務管理を厳格化。 |
| 決議397/NQ-CP | 2025年12月5日 | 偽造品・密輸品取締り強化。検査・罰則を拡大。 |
| 法律78/2025/QH15
製品及び商品の品質に関する法律の改正 |
2026年1月1日 | 製品トレーサビリティ義務化。QR/バーコードによるデジタル管理を導入。 |
| 法律122/2025/QH15
電子商取引に関する法律 |
2026年7月1日 | 販売者確認の義務化、プラットフォーム責任の明確化。 |

