2026年9月16日
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ベトナムの農林水産業は2025年も引き続き堅調さを示した。工業およびサービス業の急速な拡大に伴いGDPに占める割合は低下したものの、推定総生産額は598億ドル、輸出額は過去最高の706.3億ドルに達した。 現在同セクターは、機械化、スマート農業、持続可能な低排出生産、そしてコンプライアンスおよびトレーサビリティ要件の厳格化という4つの主要なトレンドによって牽引されている。こうした動向を踏まえ、本記事では、農業機械、スマート農業技術、収穫後加工およびコールドチェーンソリューション、デジタルトレーサビリティシステムにおける事業機会を考察する。
セクター概要
ベトナムの農林水産業は、2020年の約430億ドルから2025年には約598億ドルへと拡大を続け、5年間で48%近い増加となった。 依然として拡大を続けているが、GDPに占める割合は2020年の12.7%から2025年には約11.6%へと低下した。この低下は、ベトナムが経済構造の多様化を進めており、第一次産業である農業よりも、工業、建設、サービス業が急速に拡大していることを示唆している。
農業部門のGDPおよびGDP全体に占める割合(2020ー2025年)

出典: NSO
ベトナムの農業は、世界的な逆風にもかかわらず着実に成長を続けており、2025年、農林水産業部門の成長率は約3.78%(GDP全体の成長率は8.02%)を記録し、GDPの約12%を占めた。 さらに、農林水産部門の輸出額は706.3億ドルとなり、2024年比で12%増加した。これは650億ドルという政府の目標を大幅に上回り、200億ドルを超える貿易黒字をもたらした。[1]しかし、他のセクターと比較すると、サービス業(51.1%)および製造業(43.6%)に次いで、農業が年間GDP成長に占める寄与度は約5.3%にとどまっている。[2].
主要農産物輸出品目(2020年ー2025年)
単位:十億ドル

出所:ベトナム税関総局、商工省
農業部門の輸出額は、2020年の412億ドルから2025年には706.3億ドルへと、ここ数年でほぼ倍増した。 特に、5つの主要農産物はそれぞれ年間輸出額が十億ドルを超えている。2025年の最大の輸出分野には、水産物(112億ドル)、コーヒー(89億ドル)、野菜・果物(86億ドル)が含まれ、その他にカシューナッツや米が挙げられる。
2025年、主要な輸出市場全体の金額ベースでみると、アジアが農業輸出市場に45.2%と最大の割合を占め、次いで南北アメリカ(22.8%)、欧州(13.2%)が続いた。 個々の市場を見ると、中国が依然として最大の市場(22.3%)であり、次いで米国(20.6%)、日本(7.1%)が続いた。2025年には、欧州およびアフリカへの輸出が急増(前年比でそれぞれ+34%、+68%)し、既存の市場を超えた多様化が進んでいることが示された。[3].
国内では、悪天候、気候リスク、外部市場の変動にもかかわらず、農業生産は堅調に推移した。 2025年の穀物総生産量は4,809万トン、畜産物は生体重換算で肉類870万トン、卵214億個、水産物978万トンに達し、国内消費と輸出の両方に対して安定した供給を確保した。林業も経済的・環境的な役割を維持し、木材および林産物の輸出額は180億ドルを超えた。 一方、同セクターは、デジタル化とイノベーションを通じて、より市場志向的で、持続可能な農業システムへの移行が進んだ。2,500以上の農業バリューチェーン、174,000ヘクタール以上の有機農場に拡大し、農業データ のインフラを強化し、経済効率を推定30%向上、新しい作物品種や技術が導入された。[4].
ベトナム政府は、政策で品質、データ、持続可能性を重視した農業の発展を支援している。「2021–2030年持続可能な農業・農村開発戦略」[5] および決議第19/2022/NQ-TW号[6] は、グリーン農業、大規模生産、科学技術、品質の向上、付加価値の創出、および農業インフラの整備を重視している。 現在、主要分野においてより具体的な政策が実施されている。「100万ヘクタールの高品質・低排出米」計画は、メタン排出削減と高級米の輸出を目標としている。2025年の米生産計画およびMRV(測定・報告・検証)プロトコルは、低排出農業のための技術的規則を定めている。メタン排出削減行動計画および循環型経済行動計画では、資源効率の向上と排出削減を促進している。また、農業のデジタルトランスフォーメーション政策は、スマート農業、データインフラ、トレーサビリティを支援している。[7]これらの政策は総合的に見て、ベトナムの農業開発目標が、生産性、規制順守、持続可能性、およびバリューチェーンの高度化と密接に結びついていることを示している。
全体として、輸出構造は、ベトナムの農業が徐々に市場志向になってきていることを示唆している。 水産物、コーヒー、果物、野菜の堅調な輸出実績に加え、中国、米国、日本などの主要市場への継続的なアクセスは、このセクターが依然として主要な輸出の柱であることを示している。しかし、今後の成長は、国際基準に適応するための品質、生産性、コンプライアンス、バリューチェーンの効率性の向上にさらに重点が置かれる可能性が高く、また、政府の目標を達成するために、低排出型かつ持続可能な農業の開発もますます進められるだろう。
農業 開発 の動向
機械化
ベトナムの政策と外国投資により、国内での付加価値創出を伴う、大規模で機械化された農業への移行が加速している。 決定第858/QĐ-TTg号(2022年)に基づき、政府は極めて高い機械化目標を設定しており、細分化された小規模農地から、農場の集約化を目指している。近年、協同組合や農家が機械や技術を取り入れるにつれ、小規模農業においても機械化が始まっている。 例えば、旧ハイズオン省では、「フットプリントフリー農場」モデルにより、整地、田植え、散布、施肥、収穫が機械化され、労働力の削減、農薬使用量の低減、経済効率の向上に寄与している。ドンタップ省では、農薬散布にドローンの利用が拡大しており、農家からはコスト削減や手作業への依存度低下が報告されている。 これらの事例は、機械化が単に生産性の向上 にとどまらず、労働力不足の解消、投入コストの削減、生産の標準化[8]にも寄与していることを示している。一方、ベトナムのベトナム製農業機械の活用はわずか32%にとどまっており、60~70%は海外メーカーによる供給に依存しているため、農業機械(トラクター、収穫機、ドローンなど)の輸入および国内生産が今後拡大すると予想される。
スマート農業
ベトナムが生産性の向上、投入コストの削減、そしてより厳格な輸出基準への対応を図る中、スマート農業やアグリテックの導入がますます重要になってきている。 「2030年を見据えた2025年までの国家デジタル変革プログラム」に関する決定第749/QD-TTg号に基づき、政府は、水田、森林、果樹、産業用作物、畜産、水産養殖に関するデータを含む農業ビッグデータシステムの構築、および農業活動の観測・監視ネットワークの整備の必要性を強調している 。さらに、 AIを活用した農場管理ツール、IoTを活用した土壌・水質モニタリング、ドローンを用いた作物のモニタリングや散布、デジタルトレーサビリティプラットフォームなどを通じて、アグリテックの導入が進んでいる。ベトナムの農業向けAI市場は2025年時点では約1,040万ドルの規模と評価され、2034年まで年18.6%の成長が見込まれている。精密農業、機械学習、作物分析、ドローン分析が主要な適用分野として挙げられている。[9]. 。さらに、ベトナムの農業におけるAI市場は2025年に約$10.4Mと評価され、2034年までに18.6%の成長が見込まれている。AIベースの農場管理ツール、IoT対応の土壌・水分モニタリング、ドローンを活用した作物モニタリング・散布、デジタルトレーサビリティプラットフォームを通じて、アグリテックの導入が進展している。精密農業、機械学習、作物分析、ドローン分析が主要な応用分野として特定されている[10].
持続可能な 農業
ベトナム政府は、気候変動への耐性があり、資源効率が高く、低炭素な生産を推進している。 「2021~2030年持続可能な農業・農村開発戦略」および「メタン排出削減行動計画(2024~2030年)」は、持続可能な農業慣行の導入、資源の効率的な利用、温室効果ガスの削減を奨励しており、「循環型経済のための国家行動計画」では、循環型生産モデルと農業副産物の利用を推進しています。[11]さらに、決定第1490/QĐ-TTg号は、「100万ヘクタールの高品質・低排出米」スキームの政策的基盤を提供しており、このスキームは、水管理の改善、投入資材の最適化、トレーサビリティの確保、およびバリューチェーンの統合強化を通じて、2030年までにメコンデルタで100万ヘクタールの気候スマート型稲作を開発することを目指している。[12]この計画を支援するため、交互湿乾(AWD)灌漑、機械化直接播種、精密施肥、総合的害虫管理(IPM)、稲わらのリサイクル、デジタルモニタリング・報告・検証(MRV)システムなどの技術や持続可能な農業手法が導入され、メタン排出量の削減と生産コストの削減が図られている。[13]初期のパイロット試験の結果では、収量を維持または向上させつつ、種子、肥料、農薬、水の消費量を削減し、農家の収益性を高め、 温室効果ガスの排出を削減できたことが示されており、持続可能な稲作の全国拡大の実現可能性が実証されている。[14].
コンプライアンスとトレーサビリティ
国際市場へのアクセスは今やコンプライアンスにかかっている。EU、米国、日本、さらには中国への輸出業者は、厳格な食品安全、残留物、原産地追跡の要件を満たさなければならない。このこと2025年に痛感されることとなった。例えば、2025年初頭、ベトナムから中国へのドリアン輸出は、農薬やカドミウムの残留を理由に繰り返し返送された。農家が栽培方法を改善し、輸出業者がトレーサビリティ管理を導入して初めて、出荷が回復した。 ベトナム政府はこの移行を支援しており、原産地データ、生産地域データ、企業データ、出荷データを記録する全国的な農産物トレーサビリティシステムを立ち上げた。このシステムはまずドリアンで試験運用され、その後、米、肉、卵、牛乳、パイナップル、パッションフルーツ、茶などの主要製品へと拡大されている。[15].
さらに、EUの森林破壊規制(EUDR)もこの傾向を後押ししている。同規制は、コーヒー、ゴム、木材製品といったベトナムの主要輸出品目に影響を及ぼし、輸出業者やEUの買い手に対し、デューデリジェンスや地理位置情報データを通じて、製品が森林破壊に関与していないことの証明を義務付けている。[16]同時に、炭素関連の貿易ルールもますます重要になってきている。 EUのCBAMは、ほとんどの農産物には直接適用されないが、肥料が対象となっており、排出量の報告や炭素コストの透明性に向けたより広範な動きが求められる。農業分野において、これは輸出業者や加工業者が、特に欧州や日本のバイヤーに販売する際、投入資材の使用、排出データ、および持続可能性に関する実績を管理するよう、ますます強い圧力に直面することを意味する。[17].
事業機会と提言
ベトナムにおけるハイテクかつ持続可能な農業への移行は、外国企業の参入の機会を広げている。農業機械、精密技術、食品安全の分野に強みを持つ企業は、未充足の需要を満たし、進行中の近代化の取り組みを支援する上で有利な立場にある。
機械化のギャップが参入余地を生み出す: ベトナムではトラクター、収穫機、ドローン、灌漑システムに対する需要が高い一方で、国内の供給は限られている。これにより、特に大規模で機械化された農場向けに、外国企業が機械を輸出したり現地で組み立てることを検討できる。
デジタル・AIソリューション: スマート農業を推進する政府の政策に伴い、IoT、AI、デジタル農業ツールへの需要が高まっている。日本のテクノロジー企業は、IoTセンサー、AIを活用した農場管理プラットフォーム、精密灌漑システム、デジタルトレーサビリティツールへの投資を検討できる。これらの技術を導入するためにベトナムのスタートアップや協同組合と提携すれば、収穫量を向上させ、買い手の品質・安全基準を満たすことができる。
持続可能性・気候に配慮したソリューション: グリーン農業に関する政策により、効率的な灌漑、バイオベースの投入資材(バイオ肥料、バイオ農薬など)、および廃棄物からエネルギーを生成するソリューションへの需要が生まれている。これらを提供する企業は、持続可能性の目標に沿うとともに、グリーンファイナンスやカーボンクレジットの恩恵も受けられる。
輸出市場が基準の引き上げを牽引: 国際市場のより厳格な輸入規制に対応するため、ベトナムは食品加工、コールドチェーン、トレーサビリティシステムの整備を進めている。クリーン加工、QRコードによるトレーサビリティ、コールドチェーン物流における外国企業の専門知識は、輸出向け農産物の認証済みサプライチェーン構築を支援することができる。例えば、日本やEUをターゲットとする果物、野菜、水産物などの農産物については、認証済みサプライチェーン(農場から輸出まで)を構築するためのパートナーシップが極めて重要となる。
トレーサビリティと安全性は今や不可欠: 2025年に全国的なトレーサビリティシステムが導入されることに伴い、デジタル追跡ツールや食品検査サービスへの需要が高まっている。デジタルトレーサビリティシステム、QRコードラベルソリューション、あるいはMRL(最大残留基準)や安全基準を満たすための第三者検査・試験機関および農家向け研修を提供する企業 は、ベトナムの農産物輸出業者や農家を支援できる。
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[1] https://nnmt.net.vn/nam-2025-kim-ngach-xuat-khau-nganh-nong-nghiep-lap-ky-luc-7063-ty-usd
[2] https://www.nso.gov.vn/du-lieu-va-so-lieu-thong-ke/2026/01/bao-cao-tinh-hinh-kinh-te-xa-hoi-quy-iv-va-nam-2025/
[3] https://asemconnectvietnam.gov.vn/default.aspx?ZID1=66&ID1=1&ID8=146594
[4] https://en.vietnamplus.vn/agriculture-environment-sector-fulfils-exceeds-all-nine-targets-post335219.vnp
[5] https://en.vietnamplus.vn/fao-representative-hails-vietnams-progress-in-sustainable-agriculture-post334697.vnp
[6] https://www.oecd.org/en/publications/2025/10/agricultural-policy-monitoring-and-evaluation-2025_354e7040/full-report/viet-nam_954ff8cf.html
[7] https://www.oecd.org/en/publications/2025/10/agricultural-policy-monitoring-and-evaluation-2025_354e7040/full-report/viet-nam_954ff8cf.html
[8] https://nhandan.vn/nang-cao-hieu-qua-san-xuat-nho-co-gioi-hoa-nong-nghiep-post740936.html
[9] 農業セクターにおける包括的なデジタルトランスフォーメーションの推進
[10] https://www.imarcgroup.com/vietnam-ai-in-agriculture-market
[11] https://www.oecd.org/en/publications/agricultural-policy-monitoring-and-evaluation-2025_a80ac398-en/full-report/viet-nam_954ff8cf.html
[12] https://english.luatvietnam.vn/nong-nghiep/decision-1490-qd-ttg-2023-develop-one-million-hectares-of-low-emission-high-quality-rice-in-mekong-delta-279059-d1.html
[13] https://www.vietnam.vn/en/khoa-hoc-cong-nghe-mo-duong-cho-de-an-1-trieu-ha-lua-xanh
[14] https://www.vietnam.vn/en/de-an-1-trieu-ha-lua-hieu-qua-buoc-dau-tu-thuc-tien-dong-ruong
[15] https://news.tuoitre.vn/vietnam-launches-national-farm-produce-traceability-system-pilots-durian-tracking-10325122711215731.htm
[16] https://environment.ec.europa.eu/topics/forests/deforestation/regulation-deforestation-free-products_en
[17] https://en.mae.gov.vn/fruit-and-vegetable-exports-surge-in-the-first-nine-months-9040.htm

