2025年9月24日
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ベトナムの機能性食品市場が急速に拡大している。背景にあるのは、中産階級の増加や健康意識の高まり、予防医療への移行だ。市場の伸びに伴い、外国ブランドにとっては新たな商機が広がる一方、偽造品や品質管理といった課題も残されている。
拡大続く市場、まだ飽和遠く
ベトナム機能性食品協会(VAFF)によれば、市場は年率15%程度で成長し、消費者の6割以上が製品を利用した経験を持つ。[1]Euromonitorの予測では2023〜28年に年平均7%の成長が見込まれる。[2]高齢化が進み、人口1億100万人のうち900万人超が65歳以上となる中、脳機能や免疫、関節などに関する健康補助食品の需要が拡大している。[3].
加えて、中産・富裕層の消費拡大が健康関連支出を押し上げる。市場は幅広いカテゴリーが展開されているが、まだ支配的プレイヤーは不在。消費者はブランドよりも成分や機能を重視する傾向が強く、新規参入の余地は大きい。
外国ブランドへの信頼
消費者は一般に外国ブランドを高く評価しており、信頼性や満足度で国内製品を上回る。B&Companyの調査(2023年)によれば、豪州製サプリメントの認知度が最も高く、日本、米国が続く。特に子どもや成人向けでは日本製の認知度が高い。国内製は手頃な価格や現地適合性で一定の強みを持つものの、総合的な評価では海外勢が優位に立っている。
【図1】サプリメント原産国認知度(%:2023年)
出典: B&Company
自己治療と予防医療志向
自己治療の習慣も市場拡大を後押ししている。農村部では4〜6割、都市部では7割以上の人々が自己治療を行っている。[4]医療費の自己負担率が約43%と高く、保険制度が十分に整備されていないことが背景にある。[5]消費者は費用削減と健康維持を両立させる手段として、機能性食品を選好している。
市場参入のカギは規制と信頼
外国ブランドにとっての課題は規制対応と流通網の確立だ。ベトナム機能性食品協会(VAFF)は食品安全局などと連携し、参入企業に支援を提供している。ASEAN地域の健康サプリ基準とも接続しており、国際ブランドはVAFFのネットワークを活用することで、現地規制のハードルを下げることができる。
成功の条件
市場は依然として偽造品や品質管理の課題を抱えるが、誠実な事業運営と強固な管理体制を整えた企業には十分な成長余地がある。急成長と消費者の健康志向、外国製品への高い信頼を背景に国際ブランドは好位置にある。
真の成功の鍵はベトナム消費者の多様なニーズを的確に把握し、信頼性の高い販売体制を築けるかにかかっている。複雑ながらも有望なこの市場で、質の高い参入を果たした企業が次の勝者となるだろう。
[1] 出典: Nhan Dan Online、「 18歳以上の人口の58.5%が健康サプリメントを使用しています 」(2022年12月)
[2] 出典:同上
[3] 出典:Government of Vietnam「 2024年国勢調査中間期人口・住宅調査の結果 」(2025年1月)
[4] 出典: Journal of Multidisciplinary Healthcare, ” 高地省のベトナム人居住者におけるセルフメディケーションの実践 」(2019年7月)
[5] 出典:同上
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B&Company株式会社
2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。また最近では90万社を超える在ベトナム企業のデータベースを整備し、企業のパートナー探索や市場分析に活用しています。 お気軽にお問い合わせください info@b-company.jp + (84) 28 3910 3913 |