2025年12月1日
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ベトナムの物流産業は貿易の円滑化や工業生産の支援を通じ、経済成長の基盤を担っている。戦略的な地理条件とインフラ拡張の追い風を受け、近年は高成長が続く。ただし、高い物流コストや主要拠点での混雑、デジタル化の遅れといった課題は依然残る。こうした課題の裏側に外国企業にとっての事業機会が潜む。
市場が拡大を続ける理由
物流サービス産業は二桁成長が続き、2024年にはGDP比5.17%に達する見込み。[1].
世界銀行の物流パフォーマンス指数(LPI)では2023年に139か国中43位と7年間で21ランク上昇 。競争力改善が数字に表れてきた。[2].
【図1】ASEAN諸国の物流パフォーマンス指数(2023年)
出典:世界銀行
指標別に見ると、「追跡」や「納期遵守」は改善が進む一方、「税関手続」や「インフラ」は地域主要国に比べ見劣りする。引き続き制度・設備両面での改善余地は大きい。
【図2】ベトナムの物流市場規模
(十億USD)
Expert Market Researchは、同市場が2025~2034年に平均成長率6.4%で拡大し、2025年に約858億USDへ到達すると予測する。[3]
背景にあるのは、電子商取引(EC)の急速な拡大だ。年間16~30%の成長を続け、2025年に277億USD、2030年に625億USD規模へ拡大する見通し 。輸配送や倉庫需要の増加に直結している。[4]
政策支援とインフラ投資の強まり
国家物流能力を引き上げるため、政府は主要インフラ(ロンタン国際空港、カイメップ・チーバイ港拡張、南北高速道路)の整備を進めている。また「物流開発戦略2025~2035(ビジョン2050)」では、複合輸送の推進や外資誘致が明確化された。税制優遇や手続き簡素化を通じ、新興市場としての魅力が高まっている。[7]
物流コストはGDP比16.8~17%と世界平均の10~11%を大きく上回る 。輸送費・燃料費・通行料が製品価格や輸出競争力に影響する。道路輸送への依存度の高さも構造的な制約だ。[8].
【図3】ベトナムの貨物輸送構造(2024年1~9月)
単位:%; 100% = 19億トンの貨物輸送量
出典: ヴァロマ(2024)
2024年1~9月期の輸送量の内訳を見ると、道路が約74%を占める。(内陸水路等のデータは統計上の基準差異と推察されるが、依存偏重は明確)
港湾周辺の慢性的渋滞、燃料価格高騰、高速道路の容量不足。こうした要因が物流費を押し上げる。人材面でも国際基準に対応できる技能を持つ従業者は5~7%にとどまる 。さらなる効率化に向けた投資が不可欠だ。[9].
【図4】道路偏重の輸送構造がインフラの過負荷を招く
出典: ハノイ
既存課題は裏を返せば改善余地であり、投資のチャンスでもある。
– マルチモーダルインフラ:鉄道・港湾接続やICD整備が進み、PPP(官民連携)や合弁案件が広がる。[10].
– 倉庫・EC物流:EC市場は2025年までに390億USDに達する見込み。スマート倉庫、フルフィルメント、ラストマイル分野が成長を牽引。[11].
– コールドチェーン・特殊物流:冷蔵倉庫容量は2028年までに170万パレットに達する見込み。食品・医薬の流通ニーズが増加。[12].
製造業移転と消費市場拡大が続く限り、これらの需要は底堅い。
足元の課題は短期的コストではあるが、中期的には競争力を高める余地でもある。需要は既に存在し、競争はまだ成熟していない。物流の高度化が進む過程において、実務知と技術を備えた外資企業が価値を発揮できる余白は大きい。
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| B&Company株式会社
2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。また最近では90万社を超える在ベトナム企業のデータベースを整備し、企業のパートナー探索や市場分析に活用しています。 お気軽にお問い合わせください info@b-company.jp + (84) 28 3910 3913 |
[1] ハノイモイ
[2] 世界銀行
[3] Vnエコノミー
[4] MN配送
[5] 政府ニュース
[6] 産業貿易省
[7] ベトナム投資レビュー
[8] ベトナム商工省、2023年物流レポート
[9] ベトナム商工省、2023年物流レポート
[10] ベトナム商工省、2023年物流レポート
[11] ベトナム電子商取引協会(VECOM)
[12] フィイングループ



