自動販売機市場が動き始めた

自動販売機市場が動き始めた

2021年5月15日

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業界レビュー

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概要

ベトナムではハノイ、ホーチミン、ダナンなど主要地方自治体がここ5年ほど自動販売機の設置を進めている。もともとベトナムでは自動販売機の普及が遅れており、最初の自動販売機が設置されたのは2016年9月と言われている。設置目的は主に、現地の商人に高額な料金を支払わなければならない外国人観光客対策であり、住民の利便性向上が目的ではなかった。自動販売機の設置場所も、路上よりもセキュリティ対策やメンテナンス体制が整いやすい工業団地や大手不動産デベロッパーが開発した住宅街が中心で、日常生活で目にする機会は少ない。2018年までにハノイに設置された自動販売機は約160台で、試験運用という扱いだった。

試験運用については、ハノイ市ホアンキエム区人民委員会の統計によると、2016年9月から4か月間でハノイ市内に設置された160台の販売実績は、飲料214,383個を販売し、売上高は18億ドンだった。多くの若者や観光客は、ほとんどの店が閉まっている深夜でも路上でいつでも飲み物を買えるため、自動販売機を歓迎した。

試験運用の結果を受けて、2018年にハノイ、ホーチミン、ダナンなどの主要都市は、人々がより利用しやすいように、2020年までに目標台数を掲げ、各都市で自動販売機の設置・増加を開始するという政令を出した。ハノイ市が出した決定によると、目的は「小売業の変革」「生活利便性の向上」「文明化・近代化」。また、天候不順などで電力供給が不安定になる事態に備えて、低消費電力、漏電・漏電防止対応モデルの導入を推進するとともに、公園、バス停、景勝地などへの屋外設置拡大も求めている。セキュリティ対策として、防犯カメラの設置もモデル選定・入札の条件の一つとなっている。

政府も自販機の積極的な利用を奨励しており、ハノイ商工省が作成したウェブサイト「ショッピングマップ(http://bandomuasam.hanoi.gov.vn/)」では、市内のスーパーやガソリンスタンドの地図に加え、自販機の設置場所もマッピングされており、どこにあるのか分かりやすくなっている。

各地方自治体が中心となって整備を進めてきた自販機市場も、これまでの出遅れをチャンスと捉え、自動販売機事業で実績のあるスタートアップ企業や海外企業がベトナムに進出し始めている。スマート自販機運営最大手の「Dropfoods」は、東南アジア最大級のベンチャーキャピタル「Sugar Ventures」が支援する事業。Dropfoodsは、独自の仮想通貨「Dropcoins」やスマート決済を行うアプリ、自販機を開発し、急速に変化する小売業界の自動化の動きをサポートしている。また、2013年に設立された米Kootoro社は、2015年にベトナム市場に参入し、2017年にホーチミン市に全自動店舗をオープンした。店舗は奥行き約20メートルの広さで、自動販売機が約15台設置されている。食品から日用品までを販売し、決済はモバイルアプリで行われる。 Kootoroは、これまでにベトナム国内で8,000台まで拡大する構想を描いている。日常生活で硬貨が流通することは少なく、少額紙幣は見分けにくいほど品質が低いことがベトナムでの自販機普及の足かせとなっていたが、モバイル決済が一般的になりつつある現在の生活環境では、自販機普及への追い風となるかもしれない。

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参考文献:

  1. ハノイ市、公共の場に自動販売機を設置することを決定
  2. ドロップフード
  3. クートロ
  4. 選択して購入
  5. Select and BuyおよびMoMoとの統合

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