テナント向け賃貸物件から見たベトナムの小売業者の動向

07 8月 2024

By: B&Company

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市場概況

2023年から2024年の初めにかけて、世界的な景気後退に伴う購買力低下が小売業者に大きな影響を与えた。「ロードサイド型店舗(伝統的小売:ストリートハウス、チューブハウスなど)」、「商業施設型店舗(近代的小売:ショッピングモール、デパート、小売プラットフォームなど)」について、2大都市(ハノイ市、ホーチミン市)のテナント稼働率は2019年以前の水準を下回ったが、回復の兆しも見られる。

路面店路の状況

ハノイ市については、Lao Dong(ベトナム労働総同盟の機関紙)の記事(2024年2月29日)にもあるようにバディン区(Ba Dinh)、タインスアン区(Thanh Xuan)、ドンダー区(Dong Da)などの商店街の多くの通りで路面店が閉店し、「テナント募集」の看板が掲げられている。これについてVARS(ベトナム不動産仲介協会)の副会長(Nguyen Quoc Khanh)は「需要がある一方で多くの潜在的なテナントはより手頃な価格の物件を求めて待機状態にある」と指摘している。小売スペース市場については2024年第2四半期に復調するものの2019年以前の水準の約80%に届くかどうかという見込み。一方、ホアンキエム区(Hoan Kiem)のビジネス街は高級ブランド(Louis VuittonDiorBerlutiTiffanyなど)の惹き付けに成功している[1]

商業施設型店舗の状況

ホーチミン市については、2023年の「商業施設型店舗(近代的小売)」のテナント稼働率(四半期毎)が約90%(前年比1.9%上昇)と比較的安定している。これは新規プロジェクトの稼働率が良好であったことが大きい[2]。小売分野は様々な新規プロジェクトや商店街の活性化を目的としたプロジェクトにより大きな発展を遂げている[3]。今後も2022年から2027年にかけて年平均4%を超える成長が見込まれている。

ホーチミン市の利用可能な近代的小売スペース(万㎡)

出典:Cushman & Wakefield(2022)

ホーチミン市の近代的小売プロジェクトの例(2023年)

2023年12月 Thiso Mall Truong Chinh – Phan Huy Ich」の1階が開店。全体は2024年前半に開店。
2023年12月 「Pandora City Truong Chinh」が「Go Truong Chinh」として新装開店。
2023年8月 「Parkson Hung Vuong Mall」(百貨店)が「Hung Vuong Plaza」として新装開店。

出典:Cushman & Wakefield(2023)

ベトナムに新規ブランドが進出、拡大する傾向は強く、多くのブランド(UNIQLOH&MMINISOなど)がショッピングモールに出店している。

人口1億人以上を抱え、かつ中流階級以上の人口が増加しているベトナムは近年の世界的な景気後退にもかかわらず、高品質な製品やサービスの提供に適した国である。Savills(英国の不動産サービス会社)のレポートによると、「世界的な景気後退の中で支出を引き締めざるを得ず、社会サービスへの支出を減らす一方、必要不可欠な商品への支出を増やす傾向にある」とのこと。そのため、拡大計画を実行してるブランドもある。例えば、Central Retail(タイの小売業者)は今後5年間でベトナムの小売市場に20兆VNDを投資する計画を発表。店舗展開の範囲を現在の40省市から55省市に広げ、約600店舗に拡大することを目指している。AEON(日本の小売業者)はハノイ市にメガストアの建設を計画している。2025年までにベトナムで20のショッピングセンター、ハノイ市で100のスーパー「MaxValu」を開発することを目指している。WinMart(Masanの小売)は1,000店舗の新規出店を計画している。Saigon Coop(地場小売業者)はスーパーとして1位になることを目指している[4]

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[1] 出典:Lao Dong(ベトナム労働総同盟の機関紙)「ハノイ市中心部の数十億USDの敷地を争う」(2024年3月)

[2] 出典:Cushman & Wakefield(事業用不動産会社)「Market situation in Ho Chi Minh」(2023年)

[3] 出典:Cushman & Wakefield(事業用不動産会社)「Market situation in Ho Chi Minh」(2023年)

[4] 出典:Hanoimoi(ハノイ市党委員会の機関紙)「アパートや商業施設の小売スペース市場は活気に満ちている」(2023年8月)

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