ベトナムのデジタル経済：急速な成長から質の高い変革へ

2025年9月18日

B&Company

2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。

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ベトナムのデジタル経済が転換点を迎えている。[1]2024年の市場規模（GMV）は約360億USDに達し、[2]GDPの18%強を占めた。[3]推計では、2025年には450億〜520億USDに拡大し、GDP比で25%前後に達する見通しだ。[4]さらに2030年には900億USD規模を目指すとされ、国の成長戦略の中でデジタルが中核を担うことは明らかである。[5]もっとも、この成長は電子商取引（EC）やフィンテック、物流といった中核セクターに集中しており、持続的な発展には構造的な再編が避けられない。

ベトナムのデジタル経済の成長

出典： e-Conomy SEA 2024、情報通信省（MIC)

電子商取引（EC）：税制改革が成長に試練

ECは依然として最大の成長エンジンで、2024年には市場全体の約60%（約220億USD）を占めた。[6]. Shopee, Lazada、 TikTok Shop 前年比で約20%の成長率に達し、存在感を高めている。[7].

しかし、2025年7月に施行される新たな政令により、プラットフォーム事業者は事業者に代わって納税することが義務付けられます。これにより、負担増により数百万の小規模事業者が撤退する可能性があります。大手事業者は、税務支援ツールの拡充に伴い、法人向け販売事業者への移行が進むと予想され、業界構造に大きな変化をもたらすでしょう。

フィンテック：持続的な成長にはモデルの再構築が必要

電子ウォレット利用者数は2024年半ばまでに5000万人に達すると予想されており、前年比で約40%増加する。[8]. モモ（取引シェア約68%）がトップの座を維持し、ザロペイ（約53%）[9]しかし、積極的な販促費の投入が利益を圧迫しており、依然として赤字経営が続く事業者も多い。

さらに、銀行アプリとの競争激化にも対応を迫られることになる（VCB、デジバンク, テクコムバンク, MB銀行など）や規制の強化により、従来のキャッシュバックスキームによる成長は限界に達しており、パーソナライズされた金融サービスや保険・資産運用との垂直統合が、次の収益モデルの鍵となるでしょう。

物流：脱炭素化の圧力が事業再編を促進

物流部門は電子商取引の基盤として成長を続けており、関連するGMVは2024年に210億米ドルに達する。[10]しかし、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという政府の目標達成には、環境対策が急務となっている。

主要事業者（GHN, GHTK, ベトテルポスト, アハムーブ, ロシップなどでは、電気配送車両やCO2排出量の追跡といった実証実験が始まっているものの、充電インフラの不足や高額な投資コストが普及の妨げとなっている。今後は、AIによる最適化やグリーン倉庫の開発など、ESG要件を満たしたシステムを構築することが競争優位性につながるだろう。