
2024年11月6日
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水産加工産業の成長要因
ベトナムは世界有数の水産物の輸出国である[1]。3,260㎞以上の海岸線や広大な内陸水資源など地理的優位性があり漁業や養殖に適する[2]。ベトナム水産物輸出生産者協会(VASEP)によると、ベトナムは中国、ノルウェーに次ぐ世界3位の水産物の輸出国である[3]。これまでにEU、米国、日本、豪州、英国、中国などの需要の高い市場を含む170以上の国に輸出されている[4]。冷凍、包装、保存技術の向上に伴い水産加工品輸出の世界的な拠点になっている。
【図1】水産物の輸出額(十億USD)
【図2】水産物の主要輸出先国(%:2023年)
資料:ベトナム統計総局(GSO)
2023年の水産物の輸出額は輸出先国の高インフレ、ロシア・ウクライナ紛争に伴う物流コストの増加などにより減少したものの、2024年には回復した。2024年第3四半期の水産物の輸出額は前年同期比約13%増加の約27.6億USDとなった[5][5].
水産加工産業の成長要因はいくつか考えられる <専門介護者の不足>健康意識の高まりとタンパク質を多く含む食生活への移行により、水産物に対する世界的な需要が高まり、ベトナムの輸出が伸びている。この需要は、長年にわたりベトナムの最大の輸出相手国であるEUや米国などの主要市場で特に強い。 <高額な先行投資>: 現地製造には多額の初期投資が求められ、適切な生産ラインや研究開発への追加投資も必要である。水産加工における技術の進歩により、ベトナムの企業は効率性と製品の品質を向上させ、生産コストを低く抑えながら国際市場の高い基準を満たすことができるようになりました。 第三にベトナムの有利な地理的位置と熱帯気候は、水産養殖と漁業に理想的な条件を作り出し、同国の水産物輸出の要とされるエビとバサの養殖の発展をさらに促進しました。 ついにベトナムの競争力のある労働コストにより、水産加工産業は、費用対効果の高い生産ソリューションを求める外国投資家にとってより魅力的なものとなっています。
水産加工に関する政府の支援策
2030年までに世界トップの水産加工のハブ拠点にするという目標のもと、政府は水産加工産業の発展を促進するための政策を打ち出し、バリューチェーンに沿った生産を奨励している。例えば、2021年から2030年までの水産加工産業の発展プロジェクトに関する承認(1408/QD-TTg:2021年8月発行)では、2030年までの発展計画の概要と明確な目標が設定されている。[6]、2021年8月16日に首相により承認されました。この決定では、2021年から2030年までの水産加工産業開発計画の概要が示され、2030年に向けて以下の表のように明確な目標が設定されています。
【図3】2030年までの水産加工産業の目標
産業成長率 | 輸出比率 | 施設適合率 | 水産加工額 |
年6%以上 | 平均40%
• エビ:60% • パンガシウス:10% • マグロ:70% • イカ、タコ:30% • その他:30% |
先進的な生産技術水準に適合する施設の割合:平均70%以上 | 40~45兆VND |
資料:1408/QD-TTg
また、水産加工産業への投資と持続可能な発展を奨励するべく水産加工企業に対する法人税の軽減も実施されている。法人税法の施行細則(218/2013/ND-CP:2013年12月発行)によると、恵まれない地域での農林水産加工分野に新規投資する企業は優遇税率(15年間10%)が適用され、免税(最初の4年間)、50%減税(次の9年間)を受けられる。また、法人税の優遇措置に関する政令(57/2021/ND-CP:2021年6月発行)では、ハイテク農業投資プロジェクトや恵まれない地域での新規プロジェクトに優遇措置を与え、品質向上、環境保全のための先進技術の適用を奨励している。これらの政策はコスト削減、投資促進、国際競争力強化に役立っている。さらに、2023年第2四半期に水産物の輸出が芳しくなかったことから、国家銀行は林業、水産加工産業の企業向けに15兆VNDの融資を確保している[6]。
[9].
水産加工市場の主要企業
水産加工企業は主にメコンデルタと南部沿岸地域に集中している(図4)。SIWRPによると、メコンデルタには250種以上の淡水魚が生息し、そのうち約50種は経済的に価値が高く、約20種は希少種である[7]。
【図4】地域別の水産加工企業数(%:2022年)(100%=1,654社)
資料:B&Company
【図5】水産加工産業の主要企業
資料: B&Company
水産加工市場への外資参入機会
水産物の輸出額は2023年に低調となったが、2024年には回復して大きく成長している。年末までの今後数か月で約95億USD(2023年比7%増加)となる見通し[8]。EVFTA(ベトナムEU自由貿易協定)などの国際貿易協定により生じる新たな機会を活用して欧州市場を開拓した結果である。外国直接投資(FDI)も引き寄せている。Invest Vietnamのレポートによると、水産業のプロジェクト数は110以上、累積投資額は10億USDを超えている[9]。
ベトナムの水産加工産業は政府の強力な支援、需要の大きい輸出市場により、外資参入の機会といえる。地場企業との競争、国際基準への適合の必要性などの課題はあるものの、潜在的な可能性は大きい。自然の優位性、政府の優遇措置、拡大する貿易ネットワークを活用することで商機を捉えられるのではないだろうか。
[1] VASEP(ベトナム水産物輸出生産者協会)によると、ベトナムの主な水産物はエビ、パンガシウス、マグロ、イカ、タコ、軟体動物、カニなど
[2] 資料:National Institute for Finance(国立金融研究所)のニュース「ベトナムの海洋経済の発展:潜在優位性、比較優位性の促進が必要」(2018年6月)
[3] 資料:WTO Center(ベトナム商工会議所)のニュース「ベトナムは世界3位の水産業輸出国である」(2024年8月)
[4] 資料:MOIT(ベトナム商工省)のニュース「貿易促進:水産物輸出の回復に向けた取り組み」(2023年10月)
[5] 資料:VASEP(ベトナム水産物輸出生産者協会)のニュース「2024年第3四半期の水産物輸出は27.6億USD」(2024年10月)
[6] 資料:SBV(ベトナム国家銀行)のWebサイト「優遇クレジットパッケージが有効」(2024年3月)
[7] 資料:SIWRP(南部水利計画研究所)のWebサイト「メコンデルタの資源」
[8] 資料:VnEconomy(経済ニュースサイト)のニュース「9か月間の水産物輸出額は70億USD以上となり、エビとパンガシウスが急成長」(2024年10月)
[9] 資料:Invest Vietnam(FDI促進プラットフォーム)のレポート「ベトナム水産業」(2022年4月)
株式会社ビーアンドカンパニー
2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。また最近では90万社を超える在ベトナム企業のデータベースを整備し、企業のパートナー探索や市場分析に活用しています。 お気軽にお問い合わせください info@b-company.jp + (84) 28 3910 3913 |
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