
2024年5月15日
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ベトナムにおける日本企業の存在感の低下
抽象的な
日本はかつてベトナムへのFDIで第1位だったが、近年は韓国に追い抜かれ、中国が迫っている。B&Companyのデータベースを使用して、投資額に対する収益と収益実績の観点からベトナムにおける日本企業の存在感を分析した。その結果、ベトナムにおける日本企業の存在感は韓国、シンガポール、中国などの他の国に遅れをとっていることが明らかになった。
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かつて日本はベトナムに対する FDI 額(外国直接投資 額)で 1 位だった。近年韓国に追い抜かれ、中国にも背後に迫られている。これはベトナム関連の仕事をしていれば十分実感するところである。FDI 額や貿易額だけでなく、ベトナムでの居住者数などでも日本の占める割合の低下が囁かれてきた。
さて、今回、産業界、特に製造業を念頭にベトナムにおける各国の存在感と事業の成果を確認してみた。ベトナムの GDP(国内総生産)のうち、2022 年に外資企業は約 23%を占める。今回、2021 年の外資企業 17,250 社の 売上、利益、投資額、従業員数などのデータを地域別、産業別に分析した。
まず、全ての外資企業の売上を合計すると韓国が約 30%を占め、しかも急激に成長している。中国も同様に成長率が高く、日本は抜かれていることが分かった。
次に、投資額に対する成績を見てみる。純に直近の売上や利益を出資額(資本金額)で割ると、1 位はシンガポールであった。韓国も日本の約 2 倍となっている。一 方、売上に占める割合では 5 位(全体の約 6%)だった EU が出資額当たりの利益については 2 位となってい る。
もちろん、このような比較は単純にはできず、産業の違いを考慮したり、条件合わせをしたりしなければ、どちらの経営が良いなどと言う事はできない。しかし、結果として日本は産業に占める存在感を低下させ、利益についても遅れをとっている。最近日本の政府関係者と会話した中では「日本は稼ぐ力を伸ばさなければならない」という意見も聞かれた。
最後に、大型投資の内訳を見てみる。2017 年以降に確認できた範囲で日本の大型投資の上位は発電所、エネル ギー、不動産開発などである。一方、韓国や他の上位国は製造業でも 10 億 USD 以上の大型工場への投資が散見
される。日本は大型投資について後れをとっている。こ の要因は何であろうか。韓国は貿易や投資の相手国とし てベトナムへの集中度を高めているのに対し、日本は ASEAN 各国に分散投資しているというのが 1 つの要因として考えられる。しかし、ベトナム側にとってはあまり関係のない話である。このため、ベトナム政府からは半導体などの分野で日本による積極的な投資を求める声が高まっている。このような要求に対して日本は ODA(政府開発援助)、民間いずれも縁の下のインフラ開発で貢献してきたではないかと言いたくもなる。しかし、存在感の低下は 1 つの現実であり、日越間の連携に影を落としつつある。今回、日本がどれくらい遅れをとっているのか、企業活動の計数面から改めて確認されたと考える。
ベトナムにおける日本企業の存在感低下 – B&Company
続きは、以下をご参照ください。
株式会社ビーアンドカンパニー 2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。また最近では90万社を超える在ベトナム企業のデータベースを整備し、企業のパートナー探索や市場分析に活用しています。 お気軽にお問い合わせください info@b-company.jp + (84) 28 3910 3913 |
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