ベトナムの美容・パーソナルケア市場への商機

スキンケア製品は2位で、これは主にベトナムの消費者、特に若年層の間でスキンケアに対する意識が高まっていることによるものと考えられます。

2024年12月3日

B&Company

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市場の現状、成長の背景

近年、ベトナムの美容・パーソナルケア市場は著しい成長を遂げている(図1)。2024年の市場規模は約26.7億USDとされ、2029年までの年平均成長率は2.7%と予測されている。この市場にはパーソナルケア、スキンケア、化粧品、フレグランスなど多岐にわたる製品が含まれる。その中でもパーソナルケアが最大のセグメントであり、2024年には約11.7億USDとなる見込み。次いでスキンケアが人気を集めており、特に若年層の間でスキンケア意識が高まっていることが要因である。

【図1】美容、パーソナルケア市場の売上高(十億USD)


Revenue of the beauty and personal care market in Vietnam from 2018 to 2029

資料:Cinematone[9] Statista

また、オンラインチャネルを通じた成長も目を見張るものがある(図2)。5大ECプラットフォーム(Shopee、Lazada、Tiki、TikTok Shop、Sendo)での美容・パーソナルケア製品の売上は2023年に約52%増加し、約15億USDに達した。当該製品の販売数も年々増加しており、2023年には約3.4億個が取引された。現在、当該製品を取り扱う店舗は約13.7万店に上る。

【図2】5大ECプラットフォーム

売上高

(兆VND)

販売数
2021 – 2023
(百万個)

Number of products sold on 5 EC platforms 2021 - 2023Revenue on 5 EC platforms 2021 - 2023

資料:Cinematone[9] Metric

外国ブランドが占める市場、日本ブランドの存在感

美容・パーソナルケア市場では外国ブランドが約90%のシェアを占める(図3)。韓国ブランドが約30%でトップのシェアを誇り、欧州(23%)、日本(17%)、タイ(13%)、米国(10%)と次ぐ。特に韓国のスキンケア製品はアイドルやインフルエンサーの影響で強い人気を誇り、広告やソーシャルメディアキャンペーンが市場のトレンド形成に寄与している[1]。

【図3】美容・パーソナルケア市場のブランドシェア (%:2019年)

【図3】美容・パーソナルケア市場のブランドシェア (%:2019年)

資料:Cinematone[9] International Trade Administration

一方、日本ブランドもスキンケア、ヘアケア、ボディケアなど多岐にわたる製品を提供し、確固たる地位を築いている。「SK-II」(P&G)のような高級ブランドから「SENKA」(資生堂)のような手頃な価格帯のものまで様々な顧客層に対応している。さらに、主要メーカー(資生堂、花王、ロート製薬など)はベトナム国内に製造拠点を設けることでより迅速な流通と市場への適応を可能にしている。また、マツモトキヨシは2020年にベトナム市場に参入し、現在ではホーチミン市とハノイ市を中心に10店舗を展開している。

市場の注目トレンド

<ナチュラル・オーガニック製品の需要増加>

肌に優しいオーガニック製品や環境に配慮した製品の需要が急増している。ミレニアル世代やZ世代を中心に環境責任やブランドの倫理観が重視される傾向がある[2]。Statistaのデータ(2024年9月)によると、ナチュラル製品は市場全体の約9~10%を占め、2023年には約2.4億USDの売上を記録した。

【図4】ナチュラル・オーガニック製品の売上高 (百万USD)


Revenue of natural beauty and personal care market in Vietnam from 2018 - 2029

資料:Statista[3][5]

このトレンドを受けて国内ブランドも成長している。例えば、Cocoon(ダクラク省)は地元の原材料を活用した製品を提供しており、Co Mem HomeLab(ハノイ市)やThorakao(ホーチミン市)もベトナム特有の資源を活用した自然派志向の製品を展開している[4]。

 

<KOL、ソーシャルメディアの影響>

ソーシャルメディアプラットフォーム(Facebook、Instagram、TikTokなど)を活用するKOL(キーオピニオンリーダー)は美容・パーソナルケア業界に大きな影響を与えている。消費者はKOLのレビューを参考に購入を決めることが多く、ブランドはライブストリーム販売イベントや割引キャンペーンを通じて消費者との直接的な接点を増やしている[5]。

[7].

【図5】美容KOLのライブストリーム販売イベント

Images from a livestream sales eventImages from a livestream sales event

資料:Cinematone[9] Facebook fanpage

外国ブランド参入時の留意事項

<消費者ニーズの深い理解>

現地の美容基準や購買行動を理解するため、徹底した市場調査が不可欠である。天然成分やスキンケア効果が優先される一方で世界的なトレンドの影響も受ける消費者のニーズを把握することがキーとなる。

<専門介護者の不足>

<幅広い価格帯の提供>

プレミアム層だけでなく、予算を重視する若年層に対応するため、手頃な価格帯の商品も取り揃える[6]。

<KOLとの協力>

地元のインフルエンサーやKOLとの連携により、ブランド認知度を高めるとともに消費者の信頼を獲得する戦略が有効である。ただし、現地の広告規制を遵守しつつ、ブランド価値と一致するKOLを選定することが重要である。

まとめ: ベトナムの美容・パーソナルケア市場は成長が続くと同時に競争も激化している。消費者のニーズに寄り添い、現地のトレンドを的確に捉えた戦略が成功への鍵となるだろう。


[1] 出典:Vietnam Briefing(ビジネス、投資、経済に関するオンラインプラットフォーム)のニュース「Vietnam’s Cosmetics Industry: Strong Potential for Growing Market」(2022年8月)

 

[2] 出典:VnEconomy(科学経済協会のオンライン経済メディア)のニュース「Vietnamese Cosmetics Leading the Green Opportunity」(2024年8月)

[3]

[4] 出典:VnEconomy(科学経済協会のオンライン経済メディア)のニュース「Vietnamese Cosmetics vs. Chinese Cosmetics: The Battle for Market Share」(2024年9月)

[5] 出典:Zing Newsのニュース「The ‘Livestream Warrior’ closed millions of orders during the sale event」(2024年11月) 補う, スキンケア そして パーソナルケア セグメント

[6] 出典:Vietnam Briefing(ビジネス、投資、経済に関するオンラインプラットフォーム)のニュース「Vietnam’s Cosmetics Industry: Strong Potential for Growing Market」(2022年8月)

[7]

[8]

 

株式会社ビーアンドカンパニー

2008年に設立され、ベトナムにおける日系初の本格的な市場調査サービス企業として、業界レポート、業界インタビュー、消費者調査、ビジネスマッチングなど幅広いサービスを提供してきました。また最近では90万社を超える在ベトナム企業のデータベースを整備し、企業のパートナー探索や市場分析に活用しています。

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