By: B&Company
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サービス産業はコロナ禍に大きな影響を受けたが、映画産業はコロナ禍後に回復して大きな成長を遂げている。Statista(図1参照)によると、映画産業の収益は2019年の約6,230万USDから2023年には約8,050万USDとなり、30%以上の増加となった。また、今後5年間(2024~2029年)で年平均約4.9%の成長が予測され、2029年には約1.1億USDになる見込み。
【図1】映画産業の収益(百万USD)
娯楽の中でも映画鑑賞は比較的安価なため、様々な層に人気がある。映画館、時間帯、座席のタイプにより異なるが、チケット代は平均約45,000VND。一部の映画館では子ども、学生、シニア向けの割引を提供している[2]。映画館の数も大きく増加し、2014年の79館から2023年には約3倍の212館となった[3]。
映画館市場はCGV Cinema(映画館数全体の約45%)、Lotte Cinema(同約26%)の韓国企業2社の寡占状態にある[4]。残りを占めるのは地場のGalaxy Cinema、BHD Star、Beta Cinemaなど。
【図2】主な映画館の概況(2024年2月)
<多様なコンテンツの提供>
Z世代、α世代などの若い世代の需要に応えながら競争力を強化していくには映画以外のコンテンツの多様化が求められる。国内トップのCGV Cinemaは映画館のみではその地位を維持できないと考え、映画の制作、配給の新たな部門「ICECON」を立ち上げている[10]。
「ICECON」は2023年にドキュメンタリー映画「Taylor Swift: The Eras Tour」の上映チケット13,000枚を販売したところ1時間で完売。2024年も韓国、国内のアーティストのコンサートのドキュメンタリー、eスポーツの大会の上映、関連グッズの販売など精力的に活動しているが、このような活動は興行、売店、広告のそれぞれの収益に相乗効果をもたらしている。
<内外資のコラボレーション>
地場企業は映画館の質を向上させ、規模拡大の活路を見出そうと努力している。
<競争力向上のための競合理解>
外資参入の際に適切な戦略を決定するには市場、成功事例(ビジネスモデル)を研究する必要がある。例えば、Beta Cinemaのコスト最適化やフランチャイズモデル、Galaxy Cinemaのパートナーシップを参考にサービスの質、競争力を高められる可能性がある。
<関連規制の遵守>
映画館の運営、映画の制作、配給に関する規制には次のようなものがある。
映画撮影法は2022年に32の条項が改正され、18の条項が新規追加された。そのうち、外資参入の際に注目すべき変更は次の通り。
映画館市場は市場の収益と利用者の需要の増加により、今後5年間成長していく。一方、外資参入に対する競争や圧力も激化している。そのため、コンテンツの多様化や地場企業とのコラボレーションなどの新たなアプローチの検討が求められる。また、競合のビジネスモデル、関連規制などを十分に理解して備える必要がある。
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[1] 資料:Statista(ドイツの統計データ会社)のデータ「ベトナム映画市場の収益」(2024年8月)
[2] 資料:VNPAY(オンライン決済会社)のWebサイト「映画館のチケット代」(2023年6月)
[3] 資料:Dai Doan Ket(祖国戦線中央委員会の機関紙)の記事「映画産業の将来展望を見出すのに苦戦」(2023年10月)
[4] 資料:Vietnam News(国営通信社)の記事「映画市場は市場シェアの再配分競争に突入」(2024年8月)
[5] 資料:CGV Cinema(韓国の映画館会社)のWebサイト「紹介」
[6] 資料:Lotte Mart(韓国のディスカウントストア)のWebサイト「現代の映画館システム」。VNPAY(オンライン決済会社)のWebサイト「複合型映画館の特徴、予約方法」(2023年8月)
[7] 資料:Dien Tu Ung Dung(無線電子協会の機関紙)の記事「Galaxy Sala:現代的で派手な映画館の新たな基準を設定」(2023年12月)
[8] 資料:Beta Cinema(映画館会社)のWebサイト「導入」
[9] 資料:Cinematone(映画関連情報提供会社)のWebサイト「映画統計リスト」
[10] 資料:ICECON(CGV Cinema)のFacebook「ファンページ」
[11] 資料:Galaxy Cinema(映画館会社)のWebサイト「Galaxy Cinema、Samsungが戦略的パートナーシップ締結」(2024年3月)
[12] 資料:Vietnam News(国営通信社)の記事「映画市場は市場シェアの再配分競争に突入」(2024年8月)
[13] Quoc Hoi(国会の電子情報ポータル)の記事「映画撮影法の注目すべき変更点」(2022年7月)
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