ブランド・アジア：企業ブランド価値評価調査

背景

ブランド・アジアは、日経BPコンサルティングがアジアの各国調査会社と協力し、2012年から開始したプロジェクト。本プロジェクトは、アジア11地域にて個々のブランドが持つ好感度、役立度、品質などのイメージを測定。地域差の有無やイメージ傾向などを把握、主要なブランドの総合力を横断的に算出し、評価することを目的としている。

2012年には、アジア8地域（日本、韓国、中国、台湾、インド、タイ、ベトナム、インドネシア、）21都市での主要60グローバルブランドとベンチマークとして各地域で選定した40ローカルブランド、計100を各地域で調査対象とした。2015年にはアジア11地域（マレーシア、フィリピン、トルコが追加）31都市120ブランドに対象が拡大された。

調査結果の客観性に留意し、回答者の属性は20～59歳の男女と広めに設定、各国状況により3つの調査手法（街頭調査、電話調査、インターネット調査）を組み合わせ、実施された。

ベトナムの調査は、2012―2015年いずれも弊社（B&Company）が実施。対象都市はハノイ、ホーチミン。2015年の有効回答数は、街頭調査、インターネット調査の合計984件。本調査結果により、ブランド力に影響を与える市場内外の要因を読み取り、ベトナムでの現在にいたるブランディング戦略への示唆を得ることができる。

顧客 : 株式会社日経BPコンサルティング
分野 : 市場調査、ブランド評価
業界 : 食品・飲料、日用品、衣料など
期間: 2012年-2015年
対象: アジア11地域

調査設計上の課題

当初、各国の主要業界、主要ブランド、対象都市を決定するための統一的な考え方について議論がなされた。選択されたブランド、都市は各国を代表するものでなければならない。一方、調査対象のブランド数は一部の国で異なり、またサンプルサイズなども不統一が避けられなかった。

2012年の対象10業界は、日用品、食品、IT・家電、自動車、金融、インターネット関連、飲食、スポーツ関連用品、小売、メディア、だったが、2015年までには地域ごとの事情をより反映するため一部対象業界の入れ替えが行われた。

多地域にまたがる毎年の調査プロジェクトとして、一定期間内で品質を保ちながら効率良く調査を行うため、日経BPコンサルティング社を中心とした各国調査会社は緊密な連携を図り、全ての調査会社で一貫性のある方法を取れるよう努力する必要があった。

採用された方法

分析方法は、日経BPコンサルティングが手掛ける日本最大のブランド評価調査「ブランド・ジャパン」の手法を踏襲した。認知度評価に加えて、15項目にわたるブランドイメージを「アウトスタンディング（卓越）」、「イノベーティブ（革新）」、「フレンドリー（親しみ）」、「コンビニエント（便利）」の4因子にまとめ、ブランドの総合評価を算出・分析した。各国が共通のフレームワークを使用し、幅広い業界、ブランド間の比較が可能になった。

結果

  • 全体

ほとんど全ての業界で、発展途上国に比べ、先進国でブランド総合評価が高かった。特に、金融業界では先進国の方が27%高かった。一方、小売業界は発展途上国の方が16%高かった。スポーツ関連用品、インターネット関連用品、飲食の3業界は、認知度評価と総合評価で最高の評価を得た業界となった。影響力のある情報源として、テレビが依然として最も効果的なマーケティングチャネルといえる。7ケ国で1位、残りの4か国で2位に評価された。その他で影響力があるのはWebサイトだったが、特にタイやベトナムでは小売店の店員からの情報が重視される傾向にあった。

  • ベトナム

ベトナムは他の地域に比べブランド認知度が全体的に少し低かったが、金融業界ブランドでは先進国より高かった。通信業界ブランドが認知度と総合評価ともに最高位だった。

乳製品市場のマーケットリーダーであるVinamilkが、総合評価のトップ3（Google、Hondaとともに）にラインクインした。飲食（Highlands、Trung Nguyen、Kinh Do、Vissans）、通信（Viettel、MobiFone、VNPT）、金融（Vietcombank、Bao Viet）等サービスよりの業界では、ローカルブランドが消費者に広く認められ、高評価を獲得した。しかし、Google、Apple、SONY、Samsung、Hyunndai、TOYOTA ､Hondaなどの国際ブランドが依然としてグローバル製品・サービスの市場を支配している。

本調査結果では、ベトナムローカルブランドがブランディング、マーケティングに注力してきた結果、国内消費者の一定の評価を得られたことが示された。特に、「フレンドリー（親しみ）」、「コンビニエント（便利）」の2因子は高評価を得ている。

ただし、競争力あるポジショニング戦略を構築していく上では「イノベーティブ（革新）」、「アウトスタンディング（卓越）」の2因子について、より関心を払っていく必要がある。製品・サービスの独自性を高めながら、より高付加価値ですぐれた品質のエコシステムを確立することが重要であることが確認された。

結果の詳細は「 完全版（英語）をご参照ください。